What is TAYA Cave Preservation Executive Committee?
田谷の洞窟保存実行委員会とは
「田谷山瑜伽洞(田谷の洞窟)」は、国内のみならず世界的にも大変珍しい地下文化遺産(UBH : Underground Built Heritage) [1] と言えます。洞窟と言っても100%人工の素掘りのトンネルと言うほうが正しいと言えます。土木技術的にも非常に興味深いもので、大変高度な測量技術を用いて造られていると考えられます。技術的な視点を持ってこの洞窟を訪れると、「坑道を掘った先人達の技術力」と「膨大な数のレリーフを彫った美意識」に対して、尊敬の念を持たざるを得ません。この洞窟は、巨大な土木遺産であり、私達の統合的で貴重な知的財産と言えます。
現在、明らかに気候変動が進んでいると言えます。田谷の洞窟の内部は、気候変動に関連して劣化や風化が進んでいると考えられます。ラスコー洞窟やアルタミラの洞窟等の世界の地下文化遺産では、劣化や風化が進み、現在では研究者以外は入れない状態になっています。
「田谷の洞窟保存実行委員会」は、この貴重な地下文化遺産を次世代へ継承すべく、デジタルデータ保存を行い、地下文化遺産と共存する地域を創ることを最終的な目的とした任意団体です。将来的にはNPO法人化する事を目標としています。この地下文化遺産を守るためには、周辺環境の維持・保全が必要です。その為には、「都市近郊農村の里地・里山と地域社会・文化・環境」と持続的・自律的に共存する地下文化遺産の在り方を考え、3つの基軸を基本とした様々なミッションの実施を進めています。
団体名称
田谷の洞窟保存実行委員会 (任意団体)
代表
田村 裕彦(委員長)
所在地
〒244-0844 神奈川県横浜市栄区田谷町1501 定泉寺 内
連絡先
主な活動
横浜市登録史跡「田谷山瑜伽洞 (田谷の洞窟)」のデジタルアーカイブを制作し、次世代に継承する為の以下の3つの基軸に則った多分野横断的な田谷の洞窟保存活動。
1. 田谷の洞窟を知るための基礎調査
2. 田谷の洞窟と地域が共生するための地域づくり
3. Civic Pride 醸成の為の人づくり
[1] 地下文化遺産 (UBH : Underground Built Heritage) :
通常、我国では「文化財」という言葉が使用されています。しかし、田谷の洞窟は地域住民による築造及び維持管理が行われた歴史を持ちます。「文化財」は英語で「Cultural Property」と訳されます。ここで、「Property」は、資産、不動産などの意味であり所有権を伴う財産という意味になります。そこで、私たちは、この田谷の洞窟のような人工的に築造された「地下文化財」を地域社会とのつながりがあってこそ成り立ってきた「地域遺産」と捉えるべきではないかと考え、「地下文化遺産 Undergraound Built Heritage (UBH)」と敢えて呼ぶことにしています。この呼称は、私たちと国際共同研究を進めている「イタリア国立研究会議(Cnr)」で使用されており、ヨーロッパでは広く使われている用語です。私たちは、「財」ではなく「遺産」と考えるべきだと考えます。そして、田谷の洞窟は、人工的に造られた地下空間であるので、この呼び方の方が適切だと考え、「地下文化遺産 Underground Built Heritage」と呼んでいます。
Beginning of preservation activity
保存活動のはじまり ~ 発起人挨拶 ~
子供の頃に両親に様々な文化財や寺社仏閣などの観光地に連れて行ってもらったのに、あまりよく覚えていない。大人になってそういった場所を再訪すると全く違った印象や感動に出会う。このような経験が誰にでもあるのではないかと思います。2015年に「田谷の洞窟」とはこのような再会でした。改めて、技術的な視点でこの地下文化遺産を訪れると、多くの不思議と感動があり、この洞窟を造るのに尽力した先人達への敬意を払わざるを得ないものでした。もっと多くの人々にこの「田谷の洞窟」を知って欲しい、田谷地域のプライドとして未来へ継承していきたいと感じたのが始まりでした。
田谷の洞窟の管理者である「宗教法人 定泉寺」の許可を得て、ボランティアでこの保存活動を始めました。文化財の全くの素人が始めたこの保存活動は、協力してくれる専門家を探すのに約1年を経て、2017年に正式に「田谷の洞窟保存実行委員会」と言う任意団体を設立し、保存活動を本格的に始めました。
現在では、民間専門企業の方や大学研究機関まで、大変多くの方々のご協力のもと、「愚直に」「着実に」「迅速に」保存活動を続けることが出来ています。さらに、周辺地域の方々や公立小学校や県立高校にもご協力を頂きながら、子供から年配者まで、多様な人々との協働によって本保存活動が動いています。この活動を通して、次世代に豊かな地域文化を継承する地域つくりと人つくりに役に立つアクションは地域振興につながり、日本の困難な未来に対するフラッグシッププロジェクトとしてこの地域文化遺産保存活動を進めてきました。
今後も、ご協力者の皆さんと共にこの地下文化遺産と共生する多様な活動を続けて行きたいと考えています。是非多くの方々のご賛同とご協力を頂けますよう、お願い申し上げます。
田谷の洞窟保存実行委員会
発起人 委員長
田村 裕彦
Our Purpose : 3 Axes
活動目的 ~ 3つの基軸 ~
Our activities are baced on three axes.
この保存活動は、3つの基軸を目的としています。
3 axis of our preservation activities
- 保存活動の3つの基軸(目的) —
Basic Researches to understand TAYA Cave for our future
Axis 1 : 田谷の洞窟の理解(未来につなぐ基礎調査)
We are carrying out 3 categories academical survey for understanding TAYA Cave.
田谷の洞窟を知るための様々な学術的な基礎調査を実施しています。
1. 行政基礎調査
文化財登録時の行政資料調査(終了)
2. 学術的基礎調査
洞窟にまつわる多分野の学術調査。
3. 文化財基礎調査
文化財としての基礎的な調査。
今の田谷の洞窟そのものを理解するための基礎調査を実施しています。地質・洞内環境・空間形状・地中位置・地形・地上里山環境など、理学・工学的な学術的基礎調査を主軸に様々な調査を行っています。この活動を始めるにあたって、最初に文化財制度上の行政資料調査を実施し、洞内に施されている全ての浮彫レリーフの記録写真撮影などの文化財基礎調査も実施しています。私達は、田谷の洞窟を「人の手で築造された優れた構造物」として理解し、この洞窟の持つ歴史や文化をより技術的観点から再評価するために、様々な学術的基礎調査を多分野多大学の研究者と実施しています。
Regional Design of TAYA town for our future
Axis 2 : 田谷の地域づくり(未来につなぐ地域づくり)
Underground Built Heritages are integrated with the ground environment.
地下文化遺産は、地上の環境と一体。
田谷の洞窟を守るためには、この洞窟上部に広がる都市近郊農村の里地・里山の保全が大切です。地域共生のために、地域デザインも考えていく必要があります。
田谷の洞窟のような地下文化遺産は、地下だけを守っても不十分です。地上部分がとても地下に影響を及ぼしています。特に地中の水系が重要なのです。だから、雨水が浸み込んでくる地上の里山や里地の農村風景を守っていく必要があります。その為には、持続的な地域をつくる事を考えて行かなければいけません。さらに、田谷の洞窟を守る事で、地域力が強くなることも考えられます。
都市近郊農村の田谷町は、「都市としての問題」と「農村としての問題」の両方を持ち合わせています。そこに、田谷の洞窟のようなダイナミックな地下文化遺産があると言う事はとても優位なコンテンツがあると言えます。田谷の洞窟の保存と利活用をうまく行うことが出来れば、田谷町周辺の地域にもよい事になると考えています。つまり、田谷の洞窟保存と地域つくりは相互に利益があるのではないかと考えています。だからこそ、巨大な地下文化遺産と地域が共生する事を考える必要があるのです。
People Developments for our future
Axis 3 : 田谷の人づくり(未来につなぐ人づくり)
Outreach to people to establish the Civic Pride of Taya.
Civic Pride 醸成のための、人々へのアウトリーチ。
未来の人材も育てなければいけません。地域を担い、この地下文化財を大切に思う、そういった「CIVIC PRIDE(郷土愛)」を育むことも重要な目標です。
田谷の洞窟や、都市近郊農村としてのこの地域の風土は、とても貴重な私達の財産です。これらの財産を次世代にきちんと継承させるためには、人の心に残る何かをしなければいけないのではないかと考えています。
本活動では、特に若い人たちへの共同作業を促しています。小学生から大学生まで幅広く共同プロジェクトを実施する事で、私達は多くの人達がこの田谷の洞窟や都市近郊農村としてのこの地域の風土に対する関心jや誇りを持ってもらえると考えています。その為には、私達は保存活動を通して、人々の記憶に残る地下文化遺産を継承していきたいと考えています。
Our Mission : actions
ミッション ~ 具体的な活動 ~
We are carrying out the following four missions baced on 3 Axies.
保存活動は、3つの基軸を基にして、以下の4つのミッションを実施しています。
田谷の洞窟を知るための学術的な基礎調査です。
田谷の洞窟と地域の共生・共存を検証します。
田谷の洞窟の総合的な価値の再検証を検証します。
田谷の洞窟と地域の持続的な未来を創る人的資質の向上を図る取り組みです。
mission 1:Basic Researches 基礎調査
We are conducting three basic researches.
私達は、3つの基礎調査を進めています。
基礎調査概要図
Administration Research
① 行政調査
文化財登録時の資料や公的機関との協議による現状把握の為の調査 (終了)
② 学術的基礎調査
Academical Basic Researches
下記に示す洞窟の現状把握の為の基礎調査
Geology (Weathering) Basic Survey
②-1 地質(風化)工学 基礎調査(土質特性・劣化風化)
洞窟の地盤の土質特性の把握や洞内環境調査などを行っています。
【調査協力】
・埼玉大学大学院 理工学研究科 小口千明研究室
Geography / Terrain / Spatial Basic Survey (Space Grasp)
②-2 地理・地形・空間 基礎調査(空間把握)
洞窟空間形状と地上地形空間形状との統合的な関係把握の為の画像測量調査を実施しています。
【調査協力】
・北海道大学大学院 地球環境科学研究院 早川准教授
・東京大学 空間情報科学研究センター 小口教授
Basic environmental survey (grasp of satoyama)
②-3 環境 基礎調査(里山把握)
洞内や地上空間の里谷の環境基礎調査を実施しています。
【調査協力】専門協力者 募集中
Civil engineering basic survey
②-4 土木技術 基礎調査
施工方法(工法)や施工道具などの土木技術の基礎調査を実施しています。
【調査協力】専門協力者 募集中(未着手)
③ 文化財基礎調査
Cultural Property Basic Research
歴史や浮彫レリーフ等の美術に関する調査を実施しています。
【調査協力】
・鶴見大学 文学部文化財学科 緒方准教授 (個人協力)
mission 2:Re-evaluation & Evolution 再評価と展開
After data acquisition, we will verify 3 viewpoints for the next generation.
次世代のための3つの検証を行います。
Revalidation
地下文化遺産
資質再検証
Digital data
precision verification
取得
デジタルデータ
精度検証
Verification of
utilization and deployment of digital data
デジタルデータ
活用・展開
検証
多分野横断型の基礎調査の結果を踏まえ、独自の視点でこの地下文化遺産の価値の再評価をします。3Dレーザースキャンの精度を精査したり、場合に寄っては、土木遺産や地盤遺産としての登録申請など多様な価値の再評価を目指します。
mission 3:Regional Design 地域づくり
We aim to coexist with underground built heritages and the local community.
地下文化財と地域社会との共生を目指しています。
Considering
a preservation for Underground Built Heritage
地下文化遺産
保存を考える
=
Considering
a maintain of
Satoyama & Rural
地上の里山や里地を考える
Considering
Regional Design
地域デザイン
を考える
Check Activities
Regional Co-existing Projects
地域共生プロジェクト
田谷の里山で採れる様々な産物を利用して保存活動へのご寄付に対しての返礼品を制作。地域の障害者支援事業を行っている様々な事業所が制作しています。私達と里山と福祉が連携するプロジェクトを展開しています。
mission 4:People Developments 人づくり
From Educational Outreach for Civic Pride establishment.
教育的アウトリーチから Civic Pride 醸成へ
Educational
Outreach
教育的
アウトリーチ
+
Regional
Collaboration Activities
地域
連携活動
=
Civic Pride
Establishment
Civic Pride
醸成
Check Activities
Correlation Diagram : Mandala of our activities
活動の相関図 ~ 活動曼荼羅図 ~
Our activity is developing Rhizome.
私達の活動は樹形的に展開しています。
Check all
Cooperation
協 力
Our activities are supported by a lot of cooperation.
私達の活動は多くの協力によって支えられています。
Collaborators
活動への協力団体・組織
Cooperated Companies
これまでにご協力いただいた企業
株式会社リコー (360°撮影協力)
株式会社タイトー (ショートムービー製作協力)
Contact
お問合せ
保存実行委員会及び保存活動に対するお問い合わせは、下記メールフォームよりご連絡ください。
大変恐縮ですが、お電話でのお問い合わせには対応しておりません。